日本において今や社会の必須施設となっているコンビニエンスストア(以下コンビニと省略)ですが、少し便利さを追求しすぎではないでしょうか。

最初は食料品や日用品、雑誌などを扱っていた程度でしたが、その後はお酒や冷凍食品に切手やはがき、公共料金の支払いにチケットの取り扱い、果てはATMまで設置され、今ではコンビニで取り扱っていないものはないといった現状に加えて、各社が独自のオリジナル商品(プランド品)を扱っているところはさながら小さな百貨店や量販店のようです。

元々コンビニの生まれた経緯は、アメリカのガソリンスタンドで氷や牛乳など生活に欠かせない日用品を取り扱っていたことに端を発しています。それが様々な品物を取り扱うようになり、次第に事業を拡大していったのが今のコンビ二の原型です。(ローソンの看板に牛乳瓶が描かれているのはそれが由来だからです)

初期の頃はスーパーよりも早い時間に開店し遅い時間に閉店するので、日中買い物へ行けない人が利用するのに便利なお店という意識が強かったですね。でも、値段の方はスーパーなどに比べれば割高感があったために、買い物目的でわざわざコンビニへ行く人はいなかったと思います。

昔は雑貨屋がコンビニに近い存在でしたが、豊富な商品と新鮮味にあふれる店舗というに真新しさが徐々に人々に受け入れられて(他にも理由はありますけど)、ついには廃業やコンビニチェーン店に成り代わった店は後を絶ちません。辛うじてごく少数は残っていますが、今の経営者が店をたためばそれもなくなってしまうでしょう。

他には酒類の販売が緩和されたことをきっかけに、酒類販売業免許を持っていた酒屋の経営者が衣替えしている場合もあります。

これだけのものが揃っていれば利用者には便利な施設と言えますが、そこで働く人の労力は相対的に増大することに。

コンビニの従業員は大半がアルバイトで構成されていることを考えると、地位以上の労務を強いられている気がします。それであの賃金ですからね。労働との対価があっていないと思わざるを得ません。

それだから人の出入りが激しく、慢性的な人手不足となって求人広告が途絶えないことになっています。

その割には大都市のコンビニ出店は今も増え続けているのですが、それで採算は合うのでしょうかね。

そろそろコンビニの出店にも規制をかけないとタクシー業界のようなつぶし合いを演じることになると思うのですが、そういった動きはまだないようです。

地方ならいざ知らず、大都市になると幹線道路の数百メートルおきにコンビニが乱立しているのは当然で、時には道路を挟んだ対面に同じコンビニがあったりしますからね。

とは言え無暗に店舗を増やしても単純に業績が向上する状況にはすでになくなっているので、大手企業は他社を買収、合併などの方法で経営基盤を拡大しているようです。

ファミリーマートがサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスと経営統合し(ついでにココストアも吸収してます)、サークルKサンクスを順次ファミリーマートに転換することを発表しましたが、業界トップのセブンイレブンに対抗するためにはこのぐらいのことをしないと追いつけないのでしょうね。

以前にもファミマはam/pmを買収してその店舗をファミマに変えてますが、ローソンもSHOP99を買収して100円ローソンにしてますから、まさに弱肉強食です。

そのうち、携帯電話のように大手の数社しか残らなくなって寡占市場のような状態になりそうです。それでも、セイコマートのような地域密着型のコンビニなら生き残りそうですけど。

そういえば、コンビニ事業を立ち上げた企業が今も経営を続けているというわけではないんですよね。

面白いのはコンビニ事業を立ち上げた親会社が逆に子会社のコンビニ事業に吸収されたり、事業を手放していたりすることです。

セブンイレブンの場合は発祥の地であるアメリカの元会社が破産して日本の法人に吸収されましたし、ローソンを立ち上げたダイエーは株式を売却して経営から手を引いていますし、ミニストップも会社を立ち上げたジャスコがイオンに取って代わりましたし、ファミリーマートも事業を立ち上げた西友が手放しています。

現在の大手コンビニ会社の筆頭株主は以下の通りです。

  • セブンイレブン   セブン&アイ・ホールディングス(親会社)
  • ローソン      三菱商事
  • ファミリーマート  伊藤忠商事
  • ミニストップ    イオン(株) (親会社)